2016年10月19日水曜日

瀬戸市美術館「没後100年 宮川香山」

今年一年かけて東京・神戸・瀬戸と巡回する宮川香山展。
春先からずっと楽しみにしてた企画展で
最寄りの地方へと来るのを楽しみにしていた。

宮川香山といえば代名詞にもなっている「高浮彫」。
会場に入ってすぐの展示室から香山が手がけた高浮彫の銘品が
これでもかと言わんばかりに並べられていて
揚げ物が続く大盛り料理店のような胸焼けを感じたが、
別室に移ると釉下彩という技法で色付された磁器の品の良い作品も並んでおり、
メリハリの効いた展示構成となっていた。

呼び物でもある猫や蟹の高浮彫はもとより、
鳥と花の造形描写には目を見張った。
古来から日本画の中でも花鳥画は数多く描かれており、
それだけ描写技術が洗練されていたためなのか、
それらの立体化への執念と卓越した造形技術を見物するだけでも価値があった。

客層が普段行く企画展とは若干異なっていたのは興味深かった。
平日の昼間とは言え、地元の高齢者が目立ったのだ。
漏れ聞こえる会話に耳をすますと、
陶芸を趣味とする客が多く、教室の先生に
「これは良い展覧会だから」と勧められて来たという人もいた。
地元の作家の展覧会と思ってたとの発言も耳にしたのが、
さすがというかなんというか、焼き物の街らしいと言えば良いのか。

図録は三会場共通のもので、見本を眺めたら
瀬戸会場では陳列されてない展示物をちらほら見かける。
会期中の展示替えによるものではなく、
展示リストによると東京会場のみ・大阪会場のみと注釈されていた。
少し残念だが、瀬戸会場は公共施設だからなのか、
入場料がお値打ちだったのはありがたかった。
ただ、グッズも三会場で売られていたためなのか、
すでに売り切れのものが目立った。

代表作「高浮彫牡丹ニ眠猫覚醒蓋付水指」の猫を模したストラップを
自分用に購入、キーホルダーにつけてみた。

あの化け猫チックで愛嬌ある猫の雰囲気が良く移されてて可愛い。
しばらくこいつと仲良くしていこう。

2016年10月13日木曜日

京都めぐりぶらぶら系

連休が取れたのでそのうち一日を利用して日帰りで京都に行ってきた。
今回はほとんどノープラン、行き帰りのバス予約と
食べたいものだけ决めて他は思いつきで動いてみた。

とりあえず押さえたいのは、この季節といえば出町ふたばの栗餅、
最近ご無沙汰のたま木亭のパンも食べておきたい。
あとはどこかで牛カツサンドを買ったり、時間があったらお茶したりぐらいの
緩めのプランで動いてたら京阪沿線を行ったり来たりすることになりそうで、
そんなルートを眺めてたら沿線上に気になってたスポットがいくつか浮かぶ。
たま木亭の近くにある黄檗宗大本山の萬福寺と
京都五山のひとつに数えられる名刹、東福寺だ。

見事に何の前知識も入れぬまま詣でたが、見どころは沢山あった。
どことなく中華風の意匠が各所に施された萬福寺は
これでもかと言わんばかりに安置された仏像群が見応えあるし、
境内に山内寺院を多数有する東福寺は庭園も清められていて
ザ・京都といった風格が至る所に漂ってた。
行事のために本坊庭園が拝観中止だったのが残念。
どちらも機会があったらまた訪れたい。

食べ物もいつもと変わらず美味しかった。
一番食べたかったのは栗餅だったが、いもあんの福豆大福が絶品だった。
たま木亭のパンでは焼き鳥ももをネギで和えて
柚子胡椒で味付けした「宮崎」なる惣菜パンが好みだった。
しかし、このところ京都で食べてるものが一本調子なので
そろそろ違うところを開拓したいところか。大丸のファミリー食堂が美味しそう。

朝6時前に家を出て7時台のバスに乗り10時には京都着、
19時半のバスで京都駅を発ち、22時前に名古屋へ戻り帰宅は23時前。
丸一日遊び歩いてたが、運転しなくて良いのが何より気楽。
今回は市バスや地下鉄も使ってせわしなく移動してたが
周遊パスみたいなものを買えばもうちょっと節約できそう。
あとはどこかでゆっくりするのも悪くないかも。
何もかも忘れて連泊してダラダラ遊んでいたい。


2016年10月7日金曜日

Moonriders Outro Clubbing Tour in Nagoya E.L.L. 20161006

ムーンライダーズのライブを見るのは4度目、
初めて行ったのは1998年夏の岐阜ライブだった。
そのときの思い出は別ブログにかつて記したとおりだが、
それから見たのが無期限活動休止宣告ライブとかしぶち哲郎追悼ライブなので、
葬式厨と指差されても仕方ない。

結成40周年を記念して「活動休止の休止」を宣言。
7月から年末までフェス参加やライブハウスツアー、
ホールクラスライブを半年に渡って執り行い、
同時に入会金1万円の半年間限定FCも結成する……という、
なかなか刺激的な発表を伝え聞いたのは初夏の頃であろうか。
地元でもライブがあるし、洒落っ気の効いた価格設定だったし、
賞与が出たばかりの懐具合も手伝ってFC加入し、ライブも予約した。
ほどなく発券したチケットの整理番号を確認したら
我が目を疑うような数字で、逆に客入りが心配になったが、
開催前日に急遽、キャパ250人のell.FITS ALLから
キャパ600人のElectric Lady Landへと変更、ソールドアウトした模様。
うひーE.L.L.なんて昔のハコで初期シンセサイザーズを見て以来だよ、などと
思いを巡らせつつ大須へと向かった。

定刻通りに場内暗転し、ほどなくメンバー登場。
上手前方から武川・慶一・良明・博文、後方に岡田・夏秋と、
近年定番の4人フロントに位置取って音出し、からの一曲目は
昨年に患った大病から復帰を遂げた武川がボーカルを取る「水の中のナイフ」。
すでに日程終了しているフェスなどと同様に、
ライブ乗りの良いアッパーな人気曲がずらりと並ぶ中、
随所に「珍しい曲」(慶一談)を挟む、緩急つけたセットリストが繰り広げられる。

信じられないような最前列センターを陣取れたため、
場所が良すぎた分、フロントのモニタースピーカーの音まで聞こえてしまい、
キーボード・ボーカルがギター・ベースに隠れがちだったのは残念。
とても贅沢な悩みではあるが。
その代わり、メンバーの一挙一動を余すところなく見物できて、
BEATITUDEでの慶一と良明のダブルギタリストによる名物足上げステップや
モダーン・ラヴァーズの博文ショーなど円熟のパフォーマンスを堪能した。
ライブ終了後のフロアにはメンバーより若かろう観客がところどころで
嬉しい悲鳴を上げながら疲れ果てている光景が見られた。

円熟と言えば、今日の演奏は心持ちテンポを抑え気味にしてた気がする。
聞き慣れたライブ盤では疾走感ある走り気味の曲も
今日はテンポを堪えて一音一音、匠の技で配置されて
かっちりと構築していくような印象を受けた。ツアー初日だからだろうか。
残念ながら私は今日の名古屋しか行けないが、週末は新宿ロフト2Days、
そのまま来週は大阪香川、翌月に京都金沢とツアーは進み、
師走には中野サンプラザ公演が発表されている。
活動休止の休止という力技を駆使して再び姿を現した噂の怪物は
結成40周年の節目を死に物狂いで駆け抜ける。
その片鱗を名古屋の地で見せつけた一夜だった。
この怪物、見逃すと後悔するぞ。






追記、というほどでもないが、慶一さんの髪型に意表を突かれた。
まさかのリーゼント。

2016年10月4日火曜日

栄華の都 - Movie City

タイトルはちょっと言ってみたかっただけシリーズ。


前に書いたとおり、今年は映画館に向かう機会が多い。
数百人規模の大スクリーンからIMAX、はたまた数十席のミニシアターまで
色んな場所と空間で映画を楽しんできたが、映画内容の感想を抜きにして感じたのは、
デジタル上映の時代になり、映像のクオリティが飛躍的に向上したのを実感した。

少し前まではフィルムについた傷なのか、
映像の端々に一瞬だけ走るノイズのような線や点が気になったものだが、
そういうストレスとは無縁で全編楽しめるようになって良い時代だなーと
とてもおっさん臭い有難みでしみじみとしてしまう。

フィルム時代の映画といえば上映中の映像に
15分か20分間隔で定期的に上の方に穴みたいなのが出てきて
いちど気になり始めると仕方なかったものだが、
あれはフィルムの切り替えタイミングを伝える
「切り替えパンチ」なるものだと知ったときは一つ賢くなった気がしたが、
あれも今の若者たちにはもう完全に縁遠いものなんだろなあ。


思い起こしてみると、不思議惑星キン・ザ・ザの2001年時
リバイバル上映のときはニュープリントが売りだったし、
2011年の映画けいおんぐらいまではぎりぎりフィルム上映だったはず。
ここ数年でデジタル上映に切り替わったんだろうけど、
とにかく映像ベースの向上には目を見張る思いだ。

さらに振り返れば、10年前の夏に見た細田版時かけは
一部で熱狂的に話題になってから劇場に行ったので、
封切りから数週間経ったロングラン上映してるときに見た映像は
けっこう細かいフィルム傷が気になったのを覚えてる。
それに対して、その同年の冬に封切られたパプリカは
上映開始週の早めに見に行ったので、極上に美麗でグロテスクな映像を
とても良い状態で目に焼き付けられて幸せだった。
その二つの出来事を照らし合わせて
「映画は公開週に見に行くべき」と心に刻み、
ついでに当時のmixi日記に書き残したものだったが、
今となっては懐かしい過去のライフハックとなった。
(が、その教訓は形を変えて「展覧会は初週に見に行くべき」となって生きてる)


でも、映画のネタバレ考察トークとか二次創作妄想を膨らませるのを
みんなで寄ってたかってわいわいやるのはメチャクチャ楽しいから、
やっぱり映画は早めに見に行ったほうが面白いよ。