2016年7月6日水曜日

中野テルヲ 20th Anniversary [Live160609]

東京公演も終わったのでひと月前のライブ感想を。


ソロライブワンマンを見るのは14年ぶり。
その間にイベント出演ライブを何度か見たけども、
やはりワンマンでの異色なステージ機材構成は眼を見張るものがある。

今回、目についたのは向かって左側に設置されたダミーヘッド。
ステージの現場でバイノーラル録音したところで出音には効果ないだろうし、
はてどのように使うのやら、と訝しんでたら、
その直下に備え付けられたテープレコーダーとセットになってて、
直接ループテープサンプリングが始まった。
ダミーヘッドの耳元にあるマイクに耳打ちするかのごときポーズで。
…若い子のファンが大勢を占めるようになったから出来る技だなぁ…。


そんなパフォーマンスも含めて、総合的に感じたのは
アーティストとしての若返りを目的としたブラッシュアップが効いていた。
かつての中野テルヲライブといえば、一言で言えばストイックな、
まるで客席とステージの間に薄い透明壁でもあるかの如く、
隔てられた孤室でおこなわれる音楽実験を目の当たりにしてるような印象だった。
これは2000年代の長きに渡る活動休止から復帰した直後のライブでも
程度の差はあれども受けた感想だ。
それが中野テルヲのパブリックイメージの一端でもあった気がする。

ところが、それから数年を経て久しぶりに見たライブは
観客からの反応をアグレッシブに受け止めてさらなるパフォーマンスに繋げる、
電子音楽を主体としたベテランアーティストらしからぬ
異形のコール&レスポンスが成立するステージングに変容していた。


長年の盟友や自分のキャリアより若いアーティストとの共演に加え、
おそらく制作スタンスとマッチした所属事務所と
スタッフのバックアップ体制も大きいだろうし、
そしてなにより、現在の客層を支える若いリスナー達からも影響を受けているのだろう、
間違いなく我々が追っかけてたころの中野テルヲよりも
現在のほうが若々しい表現スタイルになっている。
そしてそれはとても官能的で魅力あるステージだ。


今回のライブには久しぶりに妻を誘った。
20年前の彼女は、私よりも熱心に中野テルヲを追っかけてて、
P-MODELと中野テルヲが同じ渋谷で同日同時間帯にライブを催した
伝説のダブルブッキングではテルヲを選んだほどのヘビーリスナーだったが、
ここ数年はテルヲライブからは遠ざかっていた。
そんな妻にこそ今の中野テルヲを見てもらいたかったのだ。
終演後には珍しく興奮気味に感想を語り、
「誘ってくれてありがと」と言ったときの表情は
とても楽しそうだった。

プロミュージシャン歴30年、ソロ活動スタートからも20年を過ぎて
活動を総括するどころではなく、ますますスケールアップする中野テルヲ。
この先に拡がる創作活動にも期待。


中野テルヲオフィシャルサイト発表より転載)

Uhlandstr On-Line
IDは異邦人
Amp-Amplified
Raindrops Keep Fallin' On My Desktop
Pilot Run #4
ファインダー
フレーム・バッファ I
Mission Goes West
スパイ大作戦
Ticktack
今夜はブギー・バック
宇宙船
Run Radio III
Dreaming
虹をみた
ディープ・アーキテクチャ
Let's Go Skysensor

EN1. グライダー
EN2. Yesは答えをいそがないで
EN3. フレーム・バッファ II



ライブグッズ:20周年記念Tシャツ。
展示品を販売してくださって感謝。


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