2018年3月28日水曜日

止まるときまで止まるな - 或る冬の感想 -

今年のお正月。
舞い込んだアクシデントによる突然の激務の中で、溺れるように働いてた頃。
眺めてたTwitterのTLに、とある少女たちの画像と動画リンク、
そしてそれらに対する、ちょっと熱めの感想が割り込んできた。
「宇宙よりも遠い場所」
女子高生、南極に行く! ……というキャッチコピーがつけられた
今期の新作アニメについてのものだった。


川の流れのごとく去り往くTLのなかでも、
簡潔かつ理路整然とした文体でありながら、
まるで歩きはじめた子を見守るような作品愛にあふれた感想が、
あるフォロワーを中心にして、次から次へと送り届けられる。
さすがに心に溜まり始め、放送済みの回までを再生する方法はないかと
Amazonプライムへと巡り着いた。

何処とでも例えられそうな地方都市、そこに暮らす女子高生が
ある出来事をきっかけに南極を目指し始める。
どうやって?
もがきはじめた姿がテンポよくコミカルに映し出されて、
かけあい芝居が小気味良い。
こんな作品もやってるんだ。まだ2話なのね。
続きが気になる。どこで放送してんの。次は録画しよう。
そこからはあっという間だ。


1月の終わりに立てた上京機会の合間に、ロケ地である
国立極地研究所・南極北極科学館行きを滑り込ませたし、
心の不調で仕事を離れ、中国四国地方を旅行する時間ができた時、
呉の港町を散歩するついでに、この作品の舞台となった場所にも立ち寄る。

情報の精査と感想をぶつけ合える仲間を求めて、
2chへと入り浸りはじめたら戻れなくなるのは、かつて何度も経験した。
けいおん二期やたまこラブストーリーの時と同じだ。
でもあそこの煮詰まり具合は麻薬みたいなもんで、いつでも心地いい。
放送話数を重ねるたびにスレの勢いがぐんぐん加速する快感。


桜が一気に咲き乱れた昨日、最終話が放送された。
それまで描かれたほぼすべてのエピソードが、
作中で示された「宇宙よりも遠い場所」を近日点として収束してから
彼方へと過ぎ果てる。まるで楕円軌道の彗星みたいに。

最新話が放送される毎に「最終回」と茶化されるほど
大胆な演出と濃密な作劇、そして計算しつくした構成のまま駆け抜ける、
こんな青春ロードストーリーに、リアルタイムで浸ってられたのは僥倖だった。
でもいつまでもこのままじゃいられない。
身支度まとめて旅立ちたくなる、そんな気持ちを奮い立たされる思いで
登場人物の心情とシンクロするように、晴れやかに見届けられた。

「宇宙よりも遠い場所」製作委員会に関わったすべての方々、
私のTLにこの作品を割り込ませたTwitterのTLの方々、
2chでワイワイガヤガヤ遊んでくれた方々、
楽しかったです。どこか行こうよ。



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