ボストン美術館の姉妹館として、同美術館の所蔵品を中心とした
展示・特別展が行われていたが、今年の秋に閉館すると発表された。
アクセスも良く、何度も展覧会に行ったので残念だ。
最終展覧会を見てきた。
「愛から生まれる幸せ」と題した第一章は、
古今東西の愛の形が表現された美術品が展示。
親子愛、男女愛、兄弟愛、
彫刻、油彩画、版画、浮世絵、写真プリント…。
なかでも子どもたちへの愛情を題材とした作品が目立つ。
「ガンジー島の海辺の子どもたち」が見れて嬉しい。
やっぱりルノワール好き。
続いては日本美術、大物の屏風絵や襖絵を中心とした内容。
目玉の曾我蕭白「琴棋書画図」は、解説もふんだんに掲示されて親切。
蕭白独特の迫力やエログロは滲み出る程度で、品が良さげな印象だった。
もともとの由来は不明とのことだが、
誰のオファーで描かれ、どこに安置された作品だったんだろう。
北斎の肉筆浮世絵などが、さりげなく展示されつつ、
古今東西の吉祥が祀られた縁起物のコーナー。
袱紗や打掛が何枚か掲げられており、
そのどれもが大胆なデザインと細かい刺繍で彩られて、目に鮮やか。
中でも「紺繻子地綱引き模様掛袱紗」は、
生地の紺色と細かい金糸が華やかで、これ欲しい。
上の階に進み、アメリカ美術。
20世紀初頭のメリーゴーラウンドで使われてた、豚の彫刻品が可愛い。
子供が乗れるサイズで、とても丁寧な装飾。
偶蹄目な蹄も再現されてて、使用による傷みにも愛が溢れてる。
洋の東西の美術交差の展示は、個人的に見どころを感じた。
アメリカ人画家の手による、絹本着色の正調山水図。
画材などを揃え、アメリカの風景を水墨画に仕立ててるが、
月・山・岩などの素材描写法のフォーマットや筆使いが、
日本画伝統のそれと異なってるのが分かり、それがまた味わい深い。
対面には別の画家による、浮世絵からモチーフを得た油彩画が掲げられ、
それらのアプローチの違いが、明快に対比されてて楽しい。
東洋美術の収集品も多く展示され、
踊るシヴァ神の銅像は1m超えの大物で、眺めてるだけでハッピー感。
チベット仏教の祠も鏡台みたいなサイズの観音開きの中に
立体曼荼羅が再現されてて、手を合わせたくなる。
抽象画寄りの現代アートはどうも苦手なので、
さらりと流してしまう。ナン・ゴールディンの写真は懐かしい。
むしろ退場した後に掲示されてる塗り絵コーナーに
なかなか面白い作品が多く、そちらに見入ってた。
ウケ狙いから、天然色ギラギラ湧き出すもの、
それぞれが集合して群体アートみたいだった。
名古屋ボストン美術館は資料室に質が好みの資料が多く揃っており、
こざっぱりとしてて居心地良かったので、たまに利用してたっけ。
やっぱり良い場所だったな。お気に入りでした。
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