平沢進マニアにとって、諏訪での最優先目標といえば、
茅野駅前ベルビアの「ヒラサワ作曲時計台」だが、
それだけで済まない魅力が、まだまだ諏訪にはある。
諏訪大社、温泉、酒蔵、奇怪建築、美味甘味。
同好の友達を誘い誘って、旅行の計画を組んでみた。
それぞれ違う地方に住む今回の旅行メンバー。
各自が気になる諏訪スポットを挙げてブレストし、
プランが固まったところでスケジュール決定。
当日はそれを頼りに、各スポットを巡りつつタイムキープ。
これがラリーツアー感覚でなかなか楽しい。
付き合いが長く気兼ねしないメンバー故に可能なスタイルかも。
諏訪まではそれぞれの交通手段で集い、
現地では我が家の車に乗り合わせて観光してきた。
カテゴリごとに振り返りたい。
【1:諏訪大社 二社四宮めぐり】
ここ数年の日本美術への興味から、
寺社仏閣にお参りする機会が増えているが、
知識は蓄えてるものの、信心深い方じゃない。
なので、諏訪大社については
「諏訪の鎮守様」「御柱祭」「御神渡り」など
トピック程度しか知らなかった。
同行した友達の一人が去年、
諏訪観光と上社本宮参拝をしており、
各所でガイド役を務めてくれた。ありがとうございます。
まず諏訪大社は、上社と下社の二社、
さらに上社は本宮と前宮、下社は春宮と秋宮の、
それら二社四宮で構成されており、
両社は直線距離にして最大10km以上離れている。
各宮には本殿が存在せず、
御神体は上社が御山、下社が神木(春宮:杉、秋宮:櫟)。
七年に一度の御柱祭で切り出された御柱を
四方に建てて神域とする。
各宮には拝殿があって、そこでお参り。
それが諏訪大社についての基礎知識。
今回は二日に分けて、二社四宮のすべてを巡った。
・上社本宮
鳥居をくぐり境内に入ると、本殿と見紛う拝殿が目に入る。
その両脇には、樹皮を剥がれて裸で並ぶ
二つの御柱が天を衝く。
我々の場所からは見えないけども、奥にももう二本立つという。
粗野な姿で立つ御柱の存在感に、まず圧倒される。
他の神社とは確かに違う、諏訪大社最大の特徴だわ。
神楽殿や神馬舎、土俵に回廊などなど、
並ぶ建築物を通り抜けて拝殿でお参り。
合わせた掌の向こうに山裾が広がる。
なるほどなるほど。
これは確かに御神体を感じる。
上社本宮の印象は、長い信仰と格式が残る、地方の大神社。
ここでの印象を刷り込み基準として
他の三宮を比べることにする。
・上社前宮
上社本宮から細い山道に沿って移動。
小高い山裾の拓けた土地が目的地。
ここがまた、びっくりするほどプリミティブ。
境内の脇には小さな川が流れ、
こじんまりと古びた拝殿を、やはり御柱が囲んでいる。
「素朴」「原始信仰」という単語が、頭の中で回る。
あまりの素朴さに一回り見てお参りし、そそくさ次の目的地へ。
しかし、見どころが無いわけでは決して無く、
ここへ来る前に立ち寄った神長官守矢史料館で
学んだばかりの知識との相乗効果により、
狩猟民族の原始信仰がいかにして諏訪神様へと変わったのか、
考えさせられる余地がたくさんあった。
前宮へのお参りには合わせて神長官守矢史料館の観光。
これらのセットをとてもお薦めしたい。
・下社春宮
下諏訪町へ移り、参道の入口を歩く。
しっかり組まれた石垣と石鳥居が目に飛び込む。
その軒先に吊るされる極太のしめ縄。
本殿と憚っても差し支えないくらい立派だ。
拝殿の屋根も檜皮葺で目立つ。これはお金かかってる。
上社よりも深い森の中でひと際目立つ、皮剥きの御柱。
諏訪神様は荒々しいのだなとの直感を一層確信させる。
春宮の脇を抜けた先の田園に
万治の石仏という巨大な磨崖仏あり。
神仏習合の時代の名残なのだろうか。
素朴なデザインだけど圧倒的スケール。パない。
ここだ。
ここが一番の長者だ。
門前町から境内から色んなものが溢れ出てる。
なんとなく京のお社みたいな雰囲気を感じる。
神楽殿の屋根造りが「三方切妻造」って、どんな造りだ。
裏に回って現物を見て頭の理解が追いついた。うーむ三方切妻…。
原初的な雰囲気で荒々しかった諏訪神様が
時代を経たら余裕が出来てスタイリッシュになってってた。
立身出世。
春宮でも感じたが、
下社のほうが明らかに観光地してる。
上社と下社には社格の序列も無くて、
実質的には別神社とは聞いてたけど、
懐の事情は色々とゴニョる話だな、きっと。
この前の中央線ダイヤ改正で
下諏訪駅への特急あずさ停車本数激減というニュースとか
その意味がなんとなく分かってきた。
全部巡ってそれぞれ違いを体験してこその感想かなあ。
いろいろあるのね。
そういえば諏訪の町の到るところで見られる
小さなお社も、それぞれ四方を可愛い御柱が囲んでた。
「四本の柱で空を支える」とはこのことか。
たんと吹け風よ。
二日かけてじっくり巡ってこそ感じる価値が
確かにあったような気がする。
なるほどなあ。
【諏訪旅行その二】
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