2018年9月21日金曜日

ママハリタオセ 核P-MODEL「回=回」大阪公演 TYPE-B

核P-MODEL「回=回」大阪公演を二日間見た。
一言で表すなら、一生自慢できるライブを浴びた。
その心境を、私達の青春と交えて、博物苑のブログへ書いたら、
有難いことに予想以上の反響を得た。

しかし、アレって、過去のことしか書いてない。
現在進行系で凄っげぇ疑似バンドについて、まったく触れてない。
片手落ちだ。
けども、いまさら感想を書いたところで、
あの青春小説の後じゃ、何を付記しても蛇足になる。


というわけで河岸を変えて、忘れぬうちにライブの思い出。
こっちにブログがあってホント助かる。


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今回の二日間は、セットリスト構成を印象深く変えてきたが、
初日の方が果てしなくパーフェクトだった。
ママで爽やかに引っ叩いてから、押して引いて押して引いて、
プシクラオンあたりから怒涛のがぶり寄り、
PLANET-HOMEで叙情感たっぷりに幕を下ろす。

アンコールも白く巨大で・ハリコンと満足感ひたひたにして、
最後の最後にアンチモネシアでチルアウト。
多幸感あふれる構成だった。終わった後に力尽きたくらい。

だけど、その初日の幸せを、二日目ゼブラがかっさらってった。
やーもー持ってかれた持ってかれた。


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家族ぐるみでお世話になってる、大阪山奥自転車屋さん。
そこのご子息を、今回の初日公演に誘った。

三輪車の上にチョコンと腰かけてた幼児の頃から、
かれこれ15年ほどお付き合いするセブンティーンだが、
高専に進学する前後からベースを手にして、
現在は校内バンドをいくつも掛け持つ駆け出しベーシストとのこと。


普段は Suchmos や WONK を愛好する、オシャレ嗜好の好青年だが、
「音楽性の好みが合うか否かはさておいて、
 あんなステージングやパフォーマンスするミュージシャン、
 他では見れないから、損させないので見においで」…などと、
あれこれ口説いて連れ出したけども。

暗転からステージが照らされ、
ペストマスクの二人組が登場したときは、
「悪いものに誘っちゃったな」と冷や汗かいた。


終演後に感想を聞いたら、
ステージングはやっぱりすごい、
テクノは難しすぎる…と首を傾げてた。

「こんないたいけな好青年をこんなのに連れてくるなんて!」と
一緒にいた友人に冗談半分で嘆かれたが、
彼の音楽人生の中でのスパイス一振りになってくれれば、
親戚みたいなオッさんオバさんはちょっぴり嬉しい。


しかししかし。入場待ちのときに、
彼は同じ高専に通う同級生を見つけてた。
あの人混みですげーな。運命だ。

あまりのことに、ノリノリでその同級生に話しかける見知らぬ中年。
なんでも数ヶ月前に平沢さんを知って、もちろん初めてのライブらしい。
行動力ハンパないなー。
他のバンド友達にも、平沢聞いてる人がいるらしいし、
ホントに(ごく一部の)若い世代に浸透してるのね。


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白会人にペストマスクをチョイスするのは、
なんというか毒まみれで悪趣味で、最高である。
ギターネックと同様に向ける方向も明確だから、舞台映え半端ないし。
「見せる」演出に於いては、一日の長のあるプロデューサーと感心する。
好青年ベーシストのパフォーマンスの刺激になれば幸い。

次のマスクを予想してる人もいるけど、
ガスマスクなんて、とうの昔に使い古されてるからなー。


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あんなに驚いた大阪公演を浴びた後に、
気になるのはやはり東京公演だ。
「手品師のやり口」で驚かせた後に、同じ手口をするとは到底思えない。
など考えてたら「会人も驚く東京の1曲目群」と宣言されてしまった。

そこで、なにをすれば会人も驚くのか、
平沢さんの思考をトレースしたところ、自分でも驚いた。
この発想に辿り着いたの、当たろうが外れようが構わないくらい。
たぶん外れる。
でも、大阪公演の衝撃とその残滓で、これだけ楽しんだのだから、
もう満足だ。
ああ、東京公演すっげー楽しみ。待ち遠しい。


そういえば回=回、近年のアルバムでは、
最も聞き込んでるかもしれない。
リリース当初から、後半の展開がとても好みだと感じてたが、
ライブを通したら前半もカッチリ気持ちよくなった。
何かの拍子にPLANET-HOMEの節を口ずさむほど好き。

音楽性だけでいえば、ソロとPが自然に統合したような印象。
音廃の頃ならECHO-233とかリテイクしてたよね。MOON PLANTみたく。
その上で軽快に踊るギターサウンド。下支えの音群も濃密で好き。
やっぱりP-MODELが根っから好きなんだと痛感する。
青春ですもの。


こうしてあの頃を思い出しても、気恥ずかしさが薄れたのは
我ながら幼年期の終わりだとも思うけど、あれはあれで全力だったから、
それでいいんじゃない。あの頃の自分よくやった。
まだまだ続くぞ朱夏。




2018年9月4日火曜日

STONE AGE!

PCの調子がここんところ悪い。
chromeを使ってると動作が細切れになるほど重い。
しばらく経つとPC全体の挙動がもっさりする。
まともに使えたもんじゃない。

なんとなく原因は分かってる。メモリだ。
自作冬の時代に安めのBTOマシンを選んで使ってたが
そろそろメンテナンスの時期だろう。

数年前のマシンだからメモリも型落ちしてることだし
安く調達できるだろうなどと、たかをくくって調べたら、
4GBで4000円、8GBなら8000円と、まだそれなりの値段だった。
(DDR3-1600)
おまけに空きメモリスロットも一つしかない。
予算と相談して4GB足して、合計8GBで様子を見ることにした。

結果、笑ってしまうほど快適になった。
めでたしめでたし。


そう思ってたら、PCパーツを勉強した副作用が出てくる。
もう一台、テレビ録画サーバとして活動するホームシアターPC。
あいつも録画番組や配信動画の再生でもっさりする。
TVチューナーカード(PT3)は奮発したが、CPU周りはケチってるはず。
あいつのCPUこそ、型落ちで安くなってる頃じゃないか。

スペックなどまるっきり忘れたので調べ直したら、
SandyBridge の celeron だった。
Amazonマケプレやヤフオクを見ると Core i3 が数千円で買えそう。
名古屋に行くついでに大須で中古パーツを探すか。


じゃんぱらで Core i3-2120 が3000円くらいで買えた。概ね良し。
シリコングリスを薄塗りしてセットアップや~。
…OSが立ち上がらない。CPU差し間違えたかな。電源オフ。
BIOSレベルでは認識してるし、ファンも回ってるし。
特には問題なさそうだ。…OSが立ち上がらない。

……。

あれ、さっきの電源入り切りで、OS破損した?

…修復も効かない。
Win7って上書きインストールできないのね。

OS再インストールした。インストールDVD取っておいてよかった。

えーと、あとは、ドライバを探して、
激めんどくさいPT3周りのセットアップして、
自動録画システム構築して…。なんでここでつまづくの…。
どうしてドライバは認識してるのに動いてくれないの…。
小型薄型ケースで自作なんてもう二度とするものか…。


一日半かけて録画サーバ再稼働。
前に使ってた録画ソフト(TvRock)が入手困難になって久しいから
流行りの方法で組み直したけど、なんだかむしろ快適になった。
EPG自動取得とキーワード自動予約が便利だな。

CPUスペックも上がったので動画再生も快適。
いままでVLCプレイヤーではほとんど見れなかったけど
今度の構成ならストレスなく見れる。
AmazonプライムやAbemaTVもオールOK。
テレビ台周りがほんのり暖かいけど。


副効用としては、SandyBridgeから搭載されてたQSVの恩恵で、
動画エンコードが捗るようになった。
手間を惜しまなければHDDのスペースも取れるし、
mp4ならGoogleフォトに預けられる、しかも無制限。
あら、これ疑似ロケフリできそう。
手間を惜しまなければだけど。

とりあえず、録画したまま見返すこともなく、
HDDの中で幅を利かせてた番組をエンコードして預けてる。
手間のかかり具合がVHSデッキつないでダビングする感覚に似てる。

しばらくこれでお金かけずに時間を潰すかー。
とか呑気に構えてたらメインマシンのDVDドライブが壊れたよ。
しょぼん。





名古屋ボストン美術館 最終展「ハピネス~明日の幸せを求めて」


名古屋の南玄関である金山駅に隣接の、名古屋ボストン美術館。
ボストン美術館の姉妹館として、同美術館の所蔵品を中心とした
展示・特別展が行われていたが、今年の秋に閉館すると発表された。
アクセスも良く、何度も展覧会に行ったので残念だ。
最終展覧会を見てきた。


「愛から生まれる幸せ」と題した第一章は、
古今東西の愛の形が表現された美術品が展示。
親子愛、男女愛、兄弟愛、
彫刻、油彩画、版画、浮世絵、写真プリント…。
なかでも子どもたちへの愛情を題材とした作品が目立つ。
「ガンジー島の海辺の子どもたち」が見れて嬉しい。
やっぱりルノワール好き。

続いては日本美術、大物の屏風絵や襖絵を中心とした内容。
目玉の曾我蕭白「琴棋書画図」は、解説もふんだんに掲示されて親切。
蕭白独特の迫力やエログロは滲み出る程度で、品が良さげな印象だった。
もともとの由来は不明とのことだが、
誰のオファーで描かれ、どこに安置された作品だったんだろう。

北斎の肉筆浮世絵などが、さりげなく展示されつつ、
古今東西の吉祥が祀られた縁起物のコーナー。
袱紗や打掛が何枚か掲げられており、
そのどれもが大胆なデザインと細かい刺繍で彩られて、目に鮮やか。
中でも「紺繻子地綱引き模様掛袱紗」は、
生地の紺色と細かい金糸が華やかで、これ欲しい。


上の階に進み、アメリカ美術。
20世紀初頭のメリーゴーラウンドで使われてた、豚の彫刻品が可愛い。
子供が乗れるサイズで、とても丁寧な装飾。
偶蹄目な蹄も再現されてて、使用による傷みにも愛が溢れてる。

洋の東西の美術交差の展示は、個人的に見どころを感じた。
アメリカ人画家の手による、絹本着色の正調山水図。
画材などを揃え、アメリカの風景を水墨画に仕立ててるが、
月・山・岩などの素材描写法のフォーマットや筆使いが、
日本画伝統のそれと異なってるのが分かり、それがまた味わい深い。
対面には別の画家による、浮世絵からモチーフを得た油彩画が掲げられ、
それらのアプローチの違いが、明快に対比されてて楽しい。

東洋美術の収集品も多く展示され、
踊るシヴァ神の銅像は1m超えの大物で、眺めてるだけでハッピー感。
チベット仏教の祠も鏡台みたいなサイズの観音開きの中に
立体曼荼羅が再現されてて、手を合わせたくなる。

抽象画寄りの現代アートはどうも苦手なので、
さらりと流してしまう。ナン・ゴールディンの写真は懐かしい。
むしろ退場した後に掲示されてる塗り絵コーナーに
なかなか面白い作品が多く、そちらに見入ってた。
ウケ狙いから、天然色ギラギラ湧き出すもの、
それぞれが集合して群体アートみたいだった。

名古屋ボストン美術館は資料室に質が好みの資料が多く揃っており、
こざっぱりとしてて居心地良かったので、たまに利用してたっけ。
やっぱり良い場所だったな。お気に入りでした。


2018年8月12日日曜日

夏の美術展ラリー

暑いけど篭ってたら終わってしまいそうな美術展をハシゴ。


名古屋市美術館「至上の印象派展 ビュールレ・コレクション」
愛知県美術館が休館中の名古屋にて今年最も注目を集めた展覧会。
東京・福岡と日本観光をするイレーヌ嬢を見てきた。

平日の夕方に入場。
入場券売り場や入り口の物々しさに比べて、客入りは割と静か。
イレーヌと共に飾られるルノワールの作品と、
ドガの踊り子が並ぶ、この展覧会の大一番的な一室も
混み合いもせずに、心ゆくまで眺めていられた。

やっぱりイレーヌは別格。
きめ細かい肌と瞳の美しさ、ぼんやりした髪と衣裳。
イレーヌと踊り子のブロンズ像だけを、
30分ただぼんやり見てるだけでも価値ある展覧会だと思う。
それとロートレックのコンフェッティが
ラフ画きわきわだけど見てるだけで幸せになれた。
その他は、この三点の引き立て役と位置づけた。
イレーヌだけは見といて絶対に損しないよ。


地下一階の常設展も間に合ったので、そちらも見る。
いきなり入ってすぐに、
赤瀬川原平の零円札と模型千円札が掲げられてて、
心臓が飛び出そうになる。
「復讐の形態学(殺す前に相手をよく見る)」から続く、
千円札裁判に名を連ねる作品群じゃないですかー。

10月からの企画展は市美30周年記念展ベストセレクションで、
復讐の形態学も出品されるらしいので楽しみ。
押収品の模型千円札梱包作品(カバン)も出ると嬉しい。超期待。


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岐阜県美術館「さよなら、再会をこころに。所蔵名品展」
こちらの県美もリノベーションで約1年間閉館するとのこと。
お休み前の見納めとしての特選コレクション展。
山本芳翠の浦島図は一度見ておきたいので行ってきた。

日本画+日本洋画→工芸→再び日本画+日本洋画→
ルドン→洋画→現代アートや抽象画、といった構成で、
入ってすぐの一室目がのっけからクライマックスだった。

お目当ての浦島図、熊谷守一の蝋燭、
岸田劉生の自画像、川合玉堂の大作などなど。
通り過ぎた後にも何度も戻って見に来てしまう勢い。
浦島図、ほんとに悪夢みたい。発色良いし、描写も狂おしいほど細かい。
モチーフから構図まで和洋折衷でこれだけで木戸銭の価値あり。
玉舎春輝「貴妃追夢」も鷹揚な感じの女性が雰囲気ある。
大阪市美術館で見て記憶に新しい長原孝太郎の作品もあったし。

次室以降も見応えあり、東京で大盛況だった
熊谷守一展にも出てた作品が何点か、再び見れたのはお得だった。
前田青邨「ラ・プランセス」は
膨よかな横顔の貴婦人の筆運びがとにかく丁寧で細かく、
素人目に見ても金と手間のかかったタッチで描かれており、
誰がモデルなのか気になったが、
後で調べたら高松宮妃とのことで。あああ納得。

ルドン以降の洋画は版画が多くて、
目を惹くものもあったが、ふーんなるほどねーという印象。
その中でもルノワールの泉と藤田嗣治の猫は良かったなあ。
後の方は印象が薄かったかも。前半がとても楽しかったから大満足。
気になった点数はビュールレより、こちらの方が多かったかも。
これが入場料500円だなんて。岐阜県民みんな行くべし。

お土産は岐阜県美の非公式キャラとなりつつある
「ミュージアムの女」缶バッチ。リノベ明けも戻ってきてほしい。

あとは名古屋ボストン美術館の最終展が気になる。
東京のショーメ展と縄文展も行きたいけど暑くて遠い。

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せっかく岐阜に行ったので、一部で話題になった
岐南町バングラキッチンのビリヤニも食べてきた。
骨付き肉とパラパラのカレーチャーハンが美味しい!







2018年7月28日土曜日

Wii Fit 100日続けてみた

関連リンク
激安Wii Fitでいまさらはじめるダイエット
Wii Fit 踏み台昇降のバランスWiiボードかさ上げ


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春から始めたWii Fit
開始から100日過ぎたので、これまでの成果を発表。



減った。



Miiの体型も細くなった。

分かった。
あたし、管理されないと維持できない人間だ。


この間に注意したのは以下のポイント。

・毎日の体重測定
・一日30分の踏み台昇降と10分の軽い筋トレ
・週に2回ほど1時間前後の自転車(もしくはエアロバイク)
・一日7000歩ほどは歩きたい
・ゆるめの糖質制限

「ゆるめの糖質制限」が、どれほどのゆるさかと言うと、
茶碗のご飯を二口分ぐらい減らすとか。
我が家は1.5合炊くけど、それを4膳分に分けるとか。
食事の中で炭水化物以外に、タンパク質や野菜と
チェンジできる選択肢があるときはそっちを選ぶとか。
その程度。

もちろん、自転車に乗る時みたいな運動モードでは
普通に羊羹やらアンパンやら、必要に応じて食べながら走る。
そうじゃないと死んじゃう。

最初のうちはもりもりてくてく歩いてたけど、
猛暑の影響で散歩の回数が減ったら、その間は体重も停滞気味。
やっぱ日々の蓄積って如実に現れますな。
あと2kgは落としたい。


さて、この間に散々実感したのが、ダイエットは
・管理と継続
・無理は続かない
結局、いたってシンプルなところに帰結する。

日々の体重をチェックし、増減の原因がナニか目星をつけると、
運動量が多い日、少ない日、前日に食べ過ぎた日、脱水気味の日などは、
体重計に乗る前から増減が分かるようになってきた。

これらを習慣づけるのにWii Fitは私にとって、
とても有効なデバイスだった。
毎日スイッチを入れてWiiボードに乗れば体重を記録保存。
筋トレはトレーナーの指導つき、
時間がかかる有酸素運動はヒマつぶしあり。
ついつい飽きがちな「管理と継続」をあの手この手で続けさせる。

私の初期投資は、Wii本体とWii Fit Plusが約2000円。
ヨガマットが約1000円と、踏み台昇降用のかさ上げブロック計700円。
それと前から使ってる歩数計が3000円か。
折からのWii投げ売りも手伝ってチープに始められた。
入会金や月会費の従量課金が必要なジムとは比べ物にならないくらい安い。


Wii Fit Plusの問題点をあげると、
・歩数や活動運動量をリモコンで入力するのが手間
・筋トレのメニューをひとつしか記録できない
という点が気になった。

どちらも後継ソフトのWii Fit Uでは改善されてるらしいけど、
Wii Uもすでに旧世代機なのがネック。
中古価格もまだ1万円ぐらいするし。
社長も交代したし、個人的には継続発展してほしいけど、
健康事業をどうするのかな任天堂。


Wii Fitに限らず、スマートウォッチとスマホアプリを組み合わせて
活動量や運動メニューを管理してくれるものは、既にたくさんあるし、
評判の良いものもあると思うので、予算と目的に合わせてお好みで。
ビリーズブートキャンプとか、きっと同じように投げ売られてないかな。



痩せて余り気味だったベルトの長さを、
今のウエストに合わせてちょん切った。
これでリバウンドできないわ。



2018年7月26日木曜日

佐川美術館「生誕110年 田中一村展」


今年、最も興奮した美術展だった。
きっかけは先日訪れた多治見の美術館でもらったチラシ、
南国の森の岩陰に止まるアカショウビンの絵が可愛くて、
暑気払いに良かろうと、玄関ドアに貼っていた。

毎日見てると情が湧いてくるものの、
琵琶湖のほとりの美術館はちょっと遠いなと、考えあぐねてたら、
妻の方も同様に気になってたとのこと。
それならば、と新名神をかっ飛ばした。


7歳の頃の小品から、奄美時代の大作まで、
一村の画業人生を一望して苦悩と変遷が伝わる展示構成。

当時の画壇とは決別し、高評価は死後のものと解説されてたが、
その理由もなんとなく分かる気がする。
自賛の筆は右肩上がりのクセ字。
花や鳥などを細部のディテールまで細密に描き込むわけでもない、
画壇で図鑑のような正確さが求められたならば嫌われるだろう。

しかし、デフォルメされたモチーフを落とし込む勘所は抜群。
なにより構図が決まってる。
狭くて小さい掛幅絵や色紙絵が多かったが、
若き日からとことん巧かった墨の濃淡の使い分けが、
その狭い構図に奥行きを生み出す。
中でもその巧さが発揮されたのが、逆光を描いた風景画だと思う。
シルエットばかりなのに果てしない広がりを感じる。


若き日に習得した南画と琳派の技法は、必要に応じて、
引き出しから取り出して作品へと活かされるが、
奄美の移住資金作りとして描いた襖絵は、
あきらかに光琳の紅白梅図をリスペクトしただろう紅梅図と白梅図、
渾身の墨筆が冴える松図など、縁起物を脇に従え、
輪廻のさまを花になぞらえた四季花譜図が中心に描かれており、
これまでに培った琳派と南画の技法の極致のような大作だった。


奄美に移住してからの作品は画題の新鮮さや、
日本画としてのモチーフの奇抜さも目を惹くが、
構図・濃淡・逆光が冴えまくり、日本画の枠なんて逸脱した
グラフィックアートな世界まで手が届いてた。

南国の眩しい日差しの下、きつめのコントラストで映る風景を
ポスターカラーと言わんばかりの調色で塗り込む。
見た目に鮮やかな作品も多いが、逆光を画題に据えると一転、
版画のごとく極端に強調された白と黒の世界、
そこに一点だけ色が添えられて一気に華やぐ。

代表作「アダンの海辺」は、金泥の曇空と遠くに霞む水平線、
雲母を混ぜたのかキラキラと静かに輝く砂礫の浜、
そして奇妙な実をつけるアダンの木が穏やかな色調で塗られ、
絹本ならではの下地を成すキャンバスに収まっている。
なるほどあれは別格だった。
しかしこれを外しても、奄美時代の作品はどれも心奪われる。


もうひとつ欠かせないポイントは端。
青少年の頃から、絵の端に何か描かずにはいられない性格だったのだろう。
とにかくどの時代でも端っこに見逃せない何かがいる。
遊び心か、もったいない精神なのかは分からないが、
小さく端に描かれる何かが、画題の巨大さや畏敬を引き立ててもいた。


今回の美術展は図録がなく、代わりにNHK出版などの画集が置かれてたが、
たった今、肉眼で見た作品の勘所が、画集の印刷だと見えてこない。
一村の全貌がより分かる収録点数と解説ではあったが、
生の迫力と魅力は収まってなかったので、残念ながら次の機会に。
グッズももう少し食指が伸びるものがあれば良いのに。

しかし、なかば冗談のつもりで貼ってたチラシから
こんなに多くの刺激を得ることになるとは。
今までほぼ知らなかった自分の勉強不足を恥じる思いだが、
また好きな画家が増えた。

20180727 追記:
ひとつ思い出した疑問がある。
青少年時代の展示で飾られていた、千葉市美術館所蔵の椿図屏風。
あの左隻には、何が描かれてたのだろう。虚無?是空?


時間がなくて、常設展の樂吉左衞門や平山郁夫まで
見れなかったのはちょっと残念。
帰り道に寄ったラコリーナ近江八幡の
クラブハリエ焼きたてバームクーヘンも顔が溶ける美味しさだった。
滋賀県油断ならないな。


2018年7月20日金曜日

熱射地獄の中で

ツール・ド・フランスを見てる。
今年はついにJ SPORTSオンデマンドに加入してしまった。
オンデマンドだからスカパー実況勢から1分ほど遅れた映像を見てるが、
こちらにとっては近未来からの予言が飛んでくる状態なので
SFっぽいTLでござる。

オンデマンドなのでLIVE映像だけじゃなくて、
以前のレースの録画映像がいつでも見れる。
でも、わざわざそんなの見ないよなーと軽視してたが、
ラ・クルス by ツール・ド・フランス(女性版ツール)の
映像を見ながら、試しにエアロバイクを漕いでみたら
臨場感が半端なかった。これ面白いテンション上がる。

ケイデンスを選手たちと合わせてみたり、
山岳に入ったらペダルへの負荷を強くしたら、
クーラー+扇風機の環境でもアホのように汗が出る。
1時間しか持たない非力。

同じようなことやってるの、ツールの生中継見ながら
ずーっとエアロ漕いだり、ローラー台に乗ってる人って
世界中に沢山いるんだろうなあ、きっと…。



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クーラーを買い替えた。
前のエアコンの中をカビさせてしまい、
こりゃあかんと数年、冷房なしの生活を送ってたが
(どうしても必要なときは隣室のエアコンから冷気を回して)
さすがに今年は無いとヒトもネコも死ぬ危機を感じたので、買い替えた。

我が家の密閉性だと暖房は必要ないので、コロナの冷房専用クーラー一択。
カビさせてしまった教訓から、内部乾燥機能付きの機種を選び、
注文したのが関東が梅雨明けした直後だったろうか。
つい先日、そろそろ干からびるかもというタイミングで届いた。
黒い毛玉も白い毛玉もだいたい気持ちよさそうにしてる。
最年長の鼈甲毛玉は別荘で一人暮らしだ。



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IKEAに行った時、LEDシーリングライトを見た。
別段、いま使ってるので現状は不満ないが、
時代はすっかりLED照明に切り替わってるのを実感した。

昼光色も昼白色もスイッチ一つで切り替えれるとはなー。
もちろん明るさも選べるし、近くに手を寄せても熱くないし、
熱を出さないってことは、エネルギー効率も良いってことだよね。
それが丸型蛍光灯2個セットの、二つ分ぐらいの値段で売ってるなんて。
もうこれでいいじゃん。

LED照明の高性能化と低価格化を目の当たりにすると
その先の方でスマート家電が手を振って踊ってる気がする。
それもスマートスピーカーの普及と家電業界の連携が鍵になるか、
もしくはGoogleやAmazonあたりが美味しいところをかっさらうか。
あと10年ぐらいで輪郭がはっきりしてくるのかな。


個人的にはビッグデータとディープラーニングとボーカロイド技術が
うまいこと混合して、リアルタイム自動翻訳を実現した
AIアシスタントが実現するのを待ってるんだけど、
それは20年後ぐらいに尻尾ぐらい見えると良いな。

いまの日本の風潮として英会話レッスンや中国語とかに力入れないと
世界から取り残されるみたいな同調圧力を感じるけど、
なんとなーくあっという間に全世界自動翻訳アシスタントが
普及しそうな気がするんだけどな。ストロングAIはともかくとして。

まあ、そんな未来が来るまでに日常会話ぐらいで
英会話を身に着けといて損はないのは確かなんですけども。
日本の外国語教育はどこまで本気なんだろう。特に義務教育。



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多治見の岐阜県現代陶芸美術館で開催されてる
「驚異の超絶技巧!明治工芸から現代アートへ」。
今となってはロストテクノロジーみたいな明治工芸がお目当てだったが
現代アートも負けちゃいないぞ、といった趣旨の展覧会。

目を疑うような出来栄えな安藤禄山の胡瓜を呼び物に、
100年以上前の手仕事とは思えないような極みの工芸品から、
それらを継承したり私淑した現代作家が作り上げる恐ろしく精密な作品。
技術の発展や美の進化は当然だとしても、
学芸員の腕がふんだんに奮われた展覧会だった。

呼び物となる有名作品を最初に惜しげもなく展示して、
明治と現代の同種の作品を対比させて、観覧客の目を肥やしてから、
明治工芸を各ジャンルごとにこれでもかと並べて、
後半を過ぎたら、現代作家も凄いですよと言わんばかりに展示。
最後の方では現代だからこそ扱えるようになった素材を中心に、
テクニカルアートの未来を予見させる構成。
思えば最後の部屋は自然光の取り入れ方も巧かったなー。
全国巡回中なのでお近くで展示があったら是非。
もう一回見たいかもだけど多治見は今、煮えるように暑そう…。

そうこうしてたら、もうすぐ名古屋市美術館で
ビュールレ・コレクションだ。楽しみ楽しみ。



2018年7月3日火曜日

Camera Egal Stylo

スマホやカメラで撮ったデジタルな写真は、
ご多分に漏れずGoogleフォトに預けてる。
通信技術の発達のおかげで、「撮る」→「クラウド保存」が
シームレスにできるようになったうえに
ちょっとした修正ならGoogleフォトで可能だから助かる。

「撮る」→「SD抜いてPCへと移す」→「レタッチソフト立ち上げて直す」→
「溜まったらCD-ROMに焼く」とか、手間のかかる作業の連続で、
面倒くさくなってそのままカメラごと放置してた、
ちょっと前までに比べると、便利な未来に辿り着いた気がする。
平成初期までは36枚撮りのフィルムで
どれだけ貴重なシャッターチャンスを逃さないか、だったのにね。

膨大な利用者からクラウドに集めた画像データなどを、
Googleがどんなことに使ってるのかは知らないけど、
私らエンドユーザーは、享楽的に便利機能を使わせてもらうとして。


撮り溜めた十数年分のスナップの中から
食事に関するものと犬猫に関するものを、それぞれ
「食事録」「犬猫集」として、アルバムとしてまとめた。
今はもう無い名店の料理や、実家で飼ってた犬が懐かしい。





ついでに手元に置いておきたい写真などをプリントアウト。
Googleフォトから焼き増しする感覚でアルバム共有とかもできるけど、
プリントした写真は液晶で見るのとは別の感慨もある。
10年前の両親が写ってる写真などは今度渡しに行こう。


デジカメが普及し始めたのが20世紀の終わりぐらいで
出始めの頃のサイバーショットとか持ってたはずなのに、
それで撮った写真はほとんど残ってないのが意外。
やっぱり転送とかレタッチ面倒だったんだ。元は取れてないな。

いま愛用してるNIKONのCoolpix A900は、iPadを経由して
ほとんど操作要らずにデジカメ→Googleフォトを実現できたけど
市販のデジカメはほぼWi-FiやBluetoothを搭載してる時代だし、
ものによってはAndroid OSで動いてるのも珍しくないし、
PCレスでクラウドまで上げられるカメラが増えるとラクだと思う。
スナップショットしか撮らないし、RAW現像なんてしないし。


めっちゃキレイな写ルンですが欲しいだけなのかな。
一度くらいはまともなデジイチも使ってみたい気もするけどねー。




2018年6月24日日曜日

さぁどんどんしまっちゃおうね

引き続き、コレクションを整理してる。
20年以上前のライブで頂戴したP-MODELメンバーサイン入りクリアファイル。
なにせクリアファイルだから、マジックで書かれてても顔料が定着せず、
ひっかき痕で擦れてしまい、取り扱いに苦労してた。

これまではクリアホルダーで管理してたが
この機会に額装してみようと思う。
Twitterで回ってきた情報によれば、ニトリで扱ってる
ポスターフレームがマット台紙つきで数百円らしい。
B4サイズを買うとA4マットがついてきて
クリアファイルの額装にはちょうどいいとか。よし買おう。


税込価格699円なり。
アクリル・紙製フレーム・スチロール製バックボードと、
けっこうチープだが何色かラインナップされ、それなりにオシャレ。



裏を向けてマット台紙の上に、クリアファイルを重ねて位置出し。
決まったら両面テープをマット台紙に貼り、
その上にバックボードを重ねて、台紙とボードを接着。
飾りたいものに粘着物がつかないように、台紙とボードの間に挟むこと。
こんな感じになった。



もう一つ、妻が1998年万国点検隊に参加した記念でもらった
カンチャナブリ泰緬鉄道(Death Railway)乗車証明書も額装。


こうしておけばインテリアとして使えるチャンスがあるかも。

以下、注意点。
・マット台紙とバックボードを貼り合わせる時、
 飾りたいものの下部を両面テープで止めないと重力で落ちる
・その際、下部のテープはひたすらしっかり接着させないと
 飾りたいものに張り付いて後で泣くことになる
・A4のものを飾るからと言って、A4ポスターフレームを間違えて買わない

2018年6月14日木曜日

P-MODEL/平沢進 展示考察

…とは、私が作ったサイトのトップに掲げてる文句だが、
実際のところの資料部屋は「展示」だなんて恥ずかしくて
口に出せないような、ゴチャゴチャした物置き状態であり、
くつろいで過ごせる空間とは言えなかった。

せめてこのまとまった時間を有効活用して
所有物の状況を把握できる管理と、見栄え良い展示がしたいと決め、
まずは中身が検討つかないまま詰め込んでる音盤やグッズの
箱ごとに管理番号を振り、Googleスプレッドシートで目録を作成した。


同時にポスターを壁掛けするため、石膏ボード用のフックを調達。
フック一つにつき約8kgの荷重に耐えられるタイプで、
我が家の一番重くて立派な額(約4kg)でも掛けられそうだ。
手始めに廊下の壁にフックを打ち、ポスターを額に入れ一枚掛けてみる。


これから先は妻と相談して、掲示物を増やすかどうか考えよう。

LP陳列額も購入。スチール棚にネオジム磁石フックをつけて
吊るすように掛けるのと、普通に立て掛けておく2パターンを模索中。
もうどうせLPなんて再生しないだろうから、
思いきって貴重なピンクヴィニール盤を額装してみた。


標本みたいだ。
ちょっとしたギャラリーみたいなスペースになって自己満足。

資料庫としてはそれなりに見栄えある形になったので
急なお客様が来ても恥ずかしさは減ったぞ。
なるべく小奇麗な状態を維持していきたいと思う。
そのためにもうちょっとゴミを減らそう。
誰も尋ねてこないのが難点。